糖尿病 潰瘍 足

創傷ケアケーススタディ 1|メインビジュアル
創傷ケアケーススタディ 1

創傷ケアケーススタディ 1

患者病歴: 96歳女性、脳梗塞の為、3年間寝たきり状態、糖尿病なし、軽度高血圧。
褥瘡6ヶ月以上:両足に外反母趾から。左臀部は骨まで到達している。
感染 : なし。悪臭なし。ドレナージは血液状漿液
創傷 : 両足外反母趾部:ほぼ赤色肉芽
左大転子:黄色の壊死組織と不良肉芽
足創傷治療法 :
週2回のメスによるデブリードマン、 1日1回のハイドロジェルドレッシ ングで適切な水分を確保。 エアーセルマットレスとフォーム状 足クッションによる足の除圧。
上記の治療法で一部治癒も完治せず。
治療開始2ヵ月後:
75%の創傷面積は治癒したものの、 完治に至らず。 外反母趾が重度のため、患者の家族 に外反母趾手術を治療開始時期から 推薦していたが、治療開始2ヵ月後、 ようやく家族が手術に同意した。
外反母趾オペ: この時点で手術目的で当院へ入院。血液検査などを 済ませ、3日後に両足の外反母趾手術、ケラー関節 形成術を実施。術後2週間で抜糸。術後6週間には 完治した。
ケラー関節形成術とは:
多数の外反母趾手術のうち、最もシンプルで患者へのストレスも少ない手術。
米国文献では、整形外科医Davisによって1887年に初めて紹介され、以後 Kellerの1912年の文献によって広められた。
ネジなどでの固定が必要ないため、手術時間やリハビリ時間が短い。
手術後は、第一足指節間関節が多少不安定になるため、患者が若く、スポーツなどをする場合は他の手術法を薦める。
手術後の両足:
褥瘡は完治し、現在のところ再発は無い。
左臀部褥瘡治療法:
この部分の褥瘡は、慢性であり左大転子外側まで到達していることもあり、外反母趾手術1週間後に創傷と大転子骨の部分切除・除去手術を推薦、家族の同意後、手術実施。  褥瘡によるトンネルを繰り抜くように切除、同時に大転子骨も一部切除。術前のMRIでは骨髄炎は無く、摘出した骨からの培養も問題は無かった。 手術後はバック療法で治療、現在時点では、ほぼ完治に近い。

手術前

褥瘡はとても深く骨まで到達している

褥瘡のトンネルを繰り抜く様に切除。同時に大転子骨も一部切除。

手術直後

手術後 2週間

手術後 2ヶ月