糖尿病 潰瘍 足

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創傷ケアセンターケーススタディ 北海道循環器病院

創傷ケアセンターケーススタディ 北海道循環器病院

患者データ

既往歴:血小板増多症、ASO、糖尿病、左下肢切断。他院でF-Pバイパス手術
創傷歴:2005年4月頃、踵及び第1趾(あかぎれ)
ADL:自立可、杖使用
創傷ケアセンター治療期間:26週間

治療経過

初診時アセスメント
  • X-Pにて第4趾中足骨頭融解、第1遠位趾節間間接脱臼
  • SPP計測: 足背 25  足底 20
  • フェルトを使い踵部の除圧
第3週~第5週
  • 前脛骨動脈へバイパス施行、足底への血管、足底アーチはあまり見えない。前脛骨から足背動脈に入る血管が若干見える。
  • バイパス後、血流及び創傷の改善を確認。SPPは40~50 。
第9週~第11週
  • 創部改善は確認できているが、以前レントゲン上で骨融解がみられたため再度検査。
  • 結果第4趾に骨髄炎を確認。不安定でもあったため、関節包を縫合固定。
  • バイパス後から8週間の抗生剤投与終了。
第12週~第16週
  • 第4趾に骨髄炎を確認、アンプタ。
  • VAC療法を開始。
  • 右足FP-ATバイパスグラフト閉塞。
  • 創傷部に虚血徴候を確認。SPPを切断面付近の足背、足底で再計測。
第16週
  • 血液検査
  • TP=6.9、ALB=3.1、Hb=8.9、CRP=4.6、WBC=34100、PLT=115.8
  • デュオアクティブET+ハイドロサイト
第17週~第19週
  • 術前SPP 右足 足背30  足底 60
  • 血管バイパス術
  • 血液検査
  • TP=5.5、ALB=2.1、Hb=8.7、CRP=2.7、WBC=3050、PLT=71.8
  • ソーブサン+ハイドロサイト
  • 術後11日経過時のSPP 右足 足背 60  足底 35
第20週
  • ヘパリンを継続投与。SPPは足背60足底30。 足首下のアウトフローは悪い。足底アーチ動脈は見られない。SPPは過大評価と結論
  • 再度閉塞するまえに中足骨頭の後ろでアンプタ、同時にVAC療法開始
第20週~第21週
  • アンプタ後、VAC療法開始
  • 血液検査
  • TP=5.9、ALB=2.1、Hb=8.7、CRP=2.7、WBC=20300、PLT=61.7
  • 感染のモニター、ハイドロサイト
第22週
  • 創部改善傾向
  • 継続治療
第24週~第25週
  • 創傷改善傾向。除圧と歩行禁止の徹底で治癒。
第26週  治癒

考察

  • レーザードップラーでSPP値をバイパス前、バイパス後に計測し、血流改善状態を確認することは大事である。
  • バイパスが再閉塞する前にタイミングをはかり、中足骨レベルでの切断決定をしたことは、患者さんが装具を使い、又歩けるようになる時期を早めることに役立った。